小さく生まれたそのあとは…?

こんにちは、スタッフAです!
朝夕の冷たい風が身に染みる季節になってまいりました((;´д`))
みなさんも体調にはくれぐれも気をつけてくださいね。

さて、今日は少し難しいお話です。
低出生体重児」について、聞いたことはありますか?
具体的には体重2500g未満で生まれた赤ちゃんのことを言います。

日本の低出生体重児はおよそ10人に1人で、その多さは世界でもトップクラス。
赤ちゃんが小さい方が出産時のリスクや負担も少ないとされ、「小さく産んで大きく育てる」というトレンドもありました。

しかし今、小さく生まれることのリスクが重要視されています。

◆リスク①:生活習慣病 

お母さんのお腹の中にいるとき栄養が不十分であった赤ちゃんは、脂肪を蓄えこむ「倹約型体質」を持っていると言われています。
簡単に言えば、少ない栄養でやりくりできるよう“省エネモード”を働かせる体質です。

そのため、「大きく育ててあげたい」という思いから栄養を与えすぎると、肥満になりやすい傾向があります。
肥満は糖尿病など将来の生活習慣病発症リスクを高めます。

つまり、胎内での栄養状態が大人になってからの健康にも影響するということです。 (このような考え方を「DOHaD(ドーハッド)」と言います。)

また、お母さんだけでなく、お父さんの年齢や栄養状態も赤ちゃんの「病気のかかりやすさ」に関係しています。
そう考えると、子育ては受精の段階から始まっているとも言えるでしょう。

◆リスク②:発達障害

低出生体重児の多くは早産(妊娠22週から37週未満)で生まれています。
早産で生まれると、脳機能が未熟であるため発達障害になりやすい傾向があります。
妊娠28週未満の「超早産児」では、自閉症スペクトラム障害ADHD(注意欠陥・多動性障害)の発症リスクが4倍になると報告されています

発達障害の傾向があるお子さんは、小・中学校のクラスに6.5%いるそうです。
これは30人クラスに2人程度の割合です。
最近発達障害が増えていると感じられるのは、低出生体重児の増加とも関係しているかもしれませんね。

ちなみに…

発達障害は遺伝による発症リスクが高いとされてきましたが、生後の養育環境が影響していることも分かってきました。
家庭のなかで強いストレスを感じていた場合に発達障害の症状がみられることがあるようです。

体の成長に栄養が必要なように、心の発達には「愛されている」という安心感がとても大切です。

優しい声でゆったり話しかけたり、温かい手でふれたりしながら、「だいすきだよ」「一緒にいるから大丈夫」というメッセージをたくさん伝えてあげましょう(*´▽`*)

◆良い胎内環境づくり

医療の進歩によって、体重1000g未満の赤ちゃんの命も救えるようになってきました。
しかしながら体が十分に発育していないため、特別な検査や様々な医学的サポートが必要です。
また、発達障害や生活習慣病など将来的なリスクも分かってきています。
お腹の中で赤ちゃんがすくすく育つように、胎内環境を見直しましょう!

良い胎内環境とは、簡単に言えばお母さんが健康で元気なこと
バランスのとれた食事を摂るとともに、血液循環を良くして冷え知らずの体を目指しましょう。
必要な栄養や酸素が、赤ちゃんに送り届けられやすくなります。

ストレスを感じていると、お腹が張って子宮が収縮し赤ちゃんのお部屋が狭くなることもあります。
不安なことも多いと思いますが、“赤ちゃんと一緒”の特別な時間をぜひ楽しんでください♪
以前のブログでもお話ししたように、お母さんがリラックスしていると胎内の赤ちゃんにも幸せホルモンが伝わるんですよ。

お母さんが心身ともに健やかであることが、赤ちゃんが心地良く成長できる環境づくりにつながっていきます( ^_^ )b

また、生まれた時の体重や障害の有無に関わらず、子どもの成長過程は様々です。あたたかく見守りつつ、今できることから取り組んでいきましょう!


※参考資料

  1. 福岡 秀興「胎児期の低栄養と成人病(生活習慣病)の発症」/日本栄養改善学会『栄養学雑誌 68巻1号』2010年9月1日
  2. 河野 由美「早産・低出生体重児の発達障害」/医歯薬出版株式会社『医学のあゆみ 260巻3号 NICUの現状と課題 ~臨床と研究の最新情報~』2017年1月21日

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