第33回日本助産学会学術集会にてランチョンセミナーを共催

こんにちは、スタッフMです。

2019年3月2日(土)-3日(日)に福岡国際会議場で開催された第33回日本助産学会学術集会にてランチョンセミナーを共催しました。

今回は、「助産師に期待する胎児・新生児のケア」をテーマにお二人の先生にご講演いただきました。

第1演者の仲先生には、ご自身の経験をもとに、妊娠・出産に携わる医療関係者に期待するお母さんへの関わり方についてお話いただきました。

幼少期から小児喘息や摂食障害など様々な体の不調に悩まされてきたそうです。何度かの転機を経て「自身の不調は“姿勢”が関係しているのでは」と気づくも体のことは後回しになり多忙な毎日を過ごす中、第1子を妊娠。
つわりや切迫早産など体の不調に悩みながら出産すると、今度は“寝ない・抱けない・泣き止まない”などうまくいかない育児に悩まれました。

そんな中、ふと浮かんだ「赤ちゃんの正しい抱き方って?」という疑問の答えを探す中でたどりついたのが“まるまる育児”でした。入院中に助産師さんからかけられた「首を大事にしてね」という言葉とリンクし取り組まれました。初めは自己流でされていましたが、助産師さんに教えてもらったことで正しく指導してもらうことの大切さを学ばれます。
第1子の出産・子育てを教訓に、まるまる育児に加え、自身の体を整える骨盤ケアに取り組んだ結果、第2子・第3子のときには順調な妊娠~育児を経験されます。

幼少期から続く生活に支障をきたさない程度の“なんとなくのつらさ”が、実は妊娠・出産・育児におけるトラブルにつながっている。つまり“体質”と呼ばれるからだの悩みを対処することが様々なトラブルの軽減につながる、このことに気づいた仲先生は、地域の母子に骨盤ケアやまるまる育児を伝えるべく、セラピストとして開業し、現在3人の育児をしながら日々活動を続けられています。

講演では、第1子と、まるまる育児に加え骨盤ケアも実践した第2子・3子の体の使い方の違いを動画で説明されていました。参加いただいた医療者は寝返りや歩き方などの違いに驚き、うなずいておられました。
また、第1子と友人2人との体の使い方の違いを見比べる動画もありました。家の中では一番不器用と思っておられたお子さんが一番器用で、友人2人はうまく体が使えていない様子を見て体のおかしさに気づき、ケアをしてあげることの大事さを感じました。

講演の最後ではご自身の出産やセラピストとしての経験から、人の認識は誰と出会い、どんな言葉をもらうかで変化していくと述べ、周産期に関わる様々な職業の人々が協力し合い、お母さんたちの悩みを一緒に考える場を作っていきたいと結ばれました。

 

第2演者の福岡先生は、DOHaD学説をテーマに、妊娠中の体重管理の必要性についてお話いただきました。DOHaD学説とは『将来の健康や特定の病気へのかかりやすさは、胎児期や生後早期の環境の影響を強く受けて決定される』という概念です。

福岡先生はこのDOHaD学説をもとに「小さく産んで大きく育てる」といった厳しい妊婦体重増加制限(体重管理)を問題視されています。それは出生体重が小さいと、帝王切開の確率が高くなり必ずしも安全な分娩ではないこと、そして生まれた赤ちゃんが成長し大人になると生活習慣病など様々な疾患にかかるリスクが高くなることが挙げられるからです。これらのリスクをふまえた上で、妊婦さんの出生時と妊娠時の体重を考慮して体重管理が必要であるかを検討する必要があると述べられています。

現在日本で、1970年代半ばから低出生体重児の割合が徐々に増加している要因として、妊娠前の痩せた低栄養に加え、妊娠中の体重増加の抑制や、栄養不足が挙げられています。
これらの問題は、妊娠中の過剰な体重管理によるストレスが考えられるそうです。

また、出生体重が小さい人は、腎臓疾患発症リスクが高くなる傾向があります。
これは、胎児期に形成される腎臓糸球体・ネフロンの数が少なく、少ない腎臓糸球体に負荷がかかりすぎてしまうことが関係している可能性が高いと考えられています
つまり妊娠前・妊娠中の栄養摂取が極めて重要であるといえるのです。

様々なグラフを元に出生時の体重が小さいことが、いかにその後のリスクにつながるかについてお話しくださいました。

今回の講演の詳細な内容はこちらからご覧いただけます。

ランチョンセミナーにご参加くださった皆様、ありがとうございました。

それでは、スタッフMでした。


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